野の花 山の花 7月 早池峯
遠く早池峯
1998年の7月、はじめて東北の山を訪れた。
釜石の方の案内で登った五葉山は山全体に豊かな自然を感じ、たいへん気に入った。
植生の変化に驚きながら、原始の色濃い厚みのある森林帯を抜けると大きく展望が開ける。
山波が重なる北上山地の彼方に一際高く聳えるのが、早池峯だ。
ハヤチネウスユキソウ
早池峯薄雪草
キク科
7月下旬
早池峯
早池峯はさすがに人が多い。
おそらく、この時期に登る殆どの人の念頭にハヤチネウスユキソウはあるのだろう。もう少し近よりたいが植物保護の縄が続く。
イブキジャコウソウ
伊吹麝香草
シソ科
7月下旬
早池峯
数十年ぶりに伊吹麝香草を見た。
遠い日、北アルプス北端の朝日岳の砂礫に咲いたこの小さな花の群落に感動し、”伊吹麝香草の想い出”という拙文を書いたことがあった。
早池峯では大群落は見かけなかったが、僅かに咲いたこのピンク色の花が伊吹麝香草と判るとたいへん懐かしい。
早池峯主稜はもう一息だ。
ハクサンシャクナゲ
白山石楠花
ツツジ科
7月下旬
早池峯
五葉山は石楠花が多かった。また石楠花で有名だそうだ。
早池峯は高山植物が多く、石楠花はその一つにすぎない。
にぎやかな草本帯をはずれ、ハクサンシャクナゲが花も葉もハイマツと調和し共生している。
山歩きを再開してから百名山はなるべく避けるようにしている。頂上に立てば、たぶんその人工色に愕然とするのがいやだからだ。
残念ながら早池峯もそうだった。有名な山の頂上は、休まずに通過するのがよい。