コムオンボ  Kom Ombo

コムオンボの神殿
Temple of Kom Ombo

 ナイル川の畔に残るコムオンボ(コモンボ)の神殿は、明るく開放感あふれる遺跡である。
 この神殿はワニの神ソベックと、隼の神ハロエリスを祀った二つの中心軸を持った独特の形式が見られる。
 おそらく対岸の中州には往時、ナイルワニが生息していたのであろう。


 プトレマイオス朝はアレキサンダー大王の東方遠征に始まる。紀元前4世紀、大王の死後、後継者プトレマイオスはエジプトにギリシア人王朝を建国した。
 プトレマイオス朝の神殿は、エジプトの伝統的スタイルを踏襲しながらも、柱頭のデザインにはギリシアの特徴が見られる。
 クレオパトラは、プトレマイオス朝最後の女王であり、おそらくシーザーとのナイル蜜月旅行の途中、この神殿にも立ち寄ったことだろう。


 神殿の柱の一部には、色彩がいまも残っている。おそらく、良好な状態で土砂に埋もれていたのであろう。
 古代エジプトの神殿は殆どが極彩色で被われていた。土色の遺跡に慣れた感性にはどぎつくさえ感じられる色彩感覚である。

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