アブシンベル神殿 Abu Simbel
高さ20m、顔の幅が4mにも達する巨大な石像は砂岩を彫り残し、レリーフは砂岩を彫り込んだものである。
入口中央の、頭上に太陽の円盤を置いた隼の神はラーハラクティで、蒼空を見つめ、左右よりラムセスが礼拝している。
アブシムベル神殿は、アスワンからナイルの第1奔流を越えた遙か南にあるため、さすがにアスワンの花崗岩は使われていない。
ナイル川の奔流(cataract)は、アスワンから青ナイルと白ナイルが合流点スーダンのハルツームまでに6カ所あるという。第2カタラクトは、アブシムベルの更に南数十キロである。
神殿入口のレリーフ
捕虜となった敵の兵士は左手を切り落とされ、首を縄で結ばれている。彼ら髪型や腰布は異なり、各地方の兵士であることが判る。
ラムセス2世は、その治世の間、外征を繰り返したことだろう。
史上名高いカデシュの戦いは、現在のシリアで、ヒッタイトの大軍と激突したものである。ヒッタイトはアナトリア高原(現トルコ)にあった古代帝国で、史上初めて鉄を製造した民族として知られている。
大神殿の内壁には、そのカデシュの戦いの模様が絵物語りのように彫り込まれ、神殿のガイドは朗々と説明する。
内陣のレリーフ
ラムセスは複数の敵の髪を束ねてつかみ、ラーハラクティ神の前で、いま彼らを討たんとしている。
古代エジプトの伝統的なスタイルのレリーフである。
大神殿の内部は広く奥行きは55mにも達する。最奥の聖室にはラムセス自身も含んで、4体の神々の座像が置かれている。
有名なカデシュの戦いのレリーフは、入ってすぐの第1室右手にある。この部屋は全て戦いのレリーフで占められており、ラムセスの好戦的性格が想像できる。
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