番外 自然とのひとこと    Index へ戻る 

 

セミ

 台風が去り、セミも最盛期は過ぎた。東京の渋谷区初台付近(2011年夏)では、7月初めにニイニイゼミが鳴き出した。8月になってようやくミンミンゼミ、アブラゼミが鳴き出す。7月は雨が殆ど降らず、セミも外界に出られなかったようだ。ヒグラシは都会ではまれで、ツクツクホウシも8月後半には鳴くが少ない。ミンミンゼミは、朝から午前中に鳴く。午後も曇っていた空が明るくなってくると鳴く。アブラゼミは気温が上がってくると鳴き、暑い午後、夕方は特によく鳴く。太陽が落ちても電灯の光に反応し、気温が下がらなければ鳴き続ける。電車に夜飛び込んでくるのもアブラゼミだ。
 それにしても、ミンミンゼミ、アブラゼミの都会への適合には驚く。これでクマゼミが大量に発生するようになるとどうなるだろうか。この夏、この地区ではクマゼミは聞かなかった。

 

不法投棄ゴミ

 山野への不法投棄ゴミが目につく。不法投棄ゴミにしないためには、ゴミを出す方がより意識を持たねばならない。「ゴミの無料回収車」にゴミを託せば、その大部分は不法投棄されるだろう。自分の家や会社で使っていた電気製品が山野に不法投棄されることを思うと悲しい。 ゴミは行政の指定した方法で有料ゴミとして出そう。 また現状からは、製品販売時にゴミ処理負担分を価格にのせる方法が望ましいのではないか。

 

ドクダミの効用

 夏になると蚊に悩まされる。ドクダミの葉をそのまま毎日1枚食べると、蚊に喰われにくくなる。蚊はドクダミの匂いを嫌うようである。単に葉を採ってそのまま食べるだけなので、手軽にできる蚊対策である。葉はなるべく新しい葉の方が食べやすい。多少の苦味や臭いはがまんして試してみよう。 蜂にも効くという人もいる。

 

奥多摩・唐松尾山・御殿岩 --- 注意情報

 山の神土より御殿岩方面への路でガレを渡るところは、沢筋の崩壊が進み落石頻繁。また御殿岩の頂稜部の岩も浮石状があり、大岩が剥がれることあり。この方面に行かれる方は留意してください。 (2007.05)

 

トレッキング用杖の販売

 山の用品を扱う店に行くとトレッキング用の杖を売っている。自分の愛用しているものはLEKIの製品だが、最近は2本セットでのみ販売されているという。1本の場合は必要な時に突く程度だが、2本を使ってスキーのように歩けば、土壌の裸地化や崩壊の進行、また脇の植物の傷み消滅は当然予測できる。またちょっとした岩場で手を使う際、明らかに2本は不便である。本来、自然を守り、楽しむ側に立つべき専門店が2本セットでのみ販売するという姿勢は、厳しく問われなければならない。  (2007.04)

 

土石流

 九州水俣の土石流現場の地形図を見た。被害のあった集部落から川の右岸を林道が上流に伸び、土石流発生地あたりは林道の側面工事がなされていたようだ。側面工事がなされる場所は通常地形が急峻で、崩壊も多い。そこに植生の弱さが重なると、大崩壊が発生する場合がある。メディアの写真で見るとこの付近の植生は稜線まで大半が杉林である。広葉樹林の植生が混在していたら条件は変わったのではないだろうか。  (2003.07)

付記: 地形図閲覧ホームページ http://mapbrowse.gsi.go.jp/mapsearch.html

 

ヤマユリの盗難

 筑波山の山頂周辺で、開花前のヤマユリ球根が数百本、盗掘されたという新聞記事を見た。ヤマユリは食用として採取する習慣も山村にはあるが、これは明らかに盗掘であろう。植物好きが、庭植えに1〜2本採る程度ならたかがしれている。数百本まとめて採るということは、市場で売れるというもくろみがあるからだと思う。
 山野草は、自然の中で生息して、はじめて周囲の植生と融合した美しさが出るのであり、庭で映える植物ではない。売られている山野草を安易に購入することは、大量盗掘を助長する行為であることを自覚する時にきているのではないか。 (2003.07)

 

プラネタリウムの閉鎖と照明

 新聞記事によると近年、各地で閉鎖するプラネタリウムが多いとのことである。小学生の頃、渋谷の五島プラネタリウムへ何回か連れていってもらったことは当時の想い出として残っている。それは、星座が好きでよく夜空を観ていたからである。現在のように自然の星空が殆ど見えない環境では、星空に興味を持つことは難しい。
 上はもちろん、横に拡散する照明を規制するようなコンセンサスが育ってこないと、星空はもう戻ってこないだろう。照らし過ぎる照明という文明が、星座や神話の文化を駆逐し、さらにこれからは、昆虫や植物の生態系にも影響を与えてくるような気がする。 (2003.04)

 

植物撮影の注意

 植物の撮影には、足場のためどうしても芽を踏んでしまうようなことがある。足場は、一見裸地に見えるところは特に注意が必要だ。そこに自分が撮影しようとする植物の別の芽がある場合もある。足場はその辺にたくさんある草や大きめの草にとった方がいいかもしれない。植物はある程度大きくなると踏まれても立ち直るが、芽の時に踏まれると厳しいようだ。 (2002.05)

 

ティッシュペーパーの散乱

 脇道にそれると、女性のそれらしい跡がある。目立つのはティッシュペーパーの散乱である。集めては埋め込んだりするが気分のいいものではない。紙は水溶性のトイレットペーパーを使ってもらいたい。土に押し込めば、短い期日で溶けてしまう。街頭配布のティッシュペーパーは繊維質が強くいつまでも残る。山にはトイレットペーパーの小さくなったロールが必携だ。 (2002.04)

 

赤印の導標について

 一般ルートでない路に入ると、それなりの標識が目につく。昔は赤布だったが、最近は赤のビニールテープが多い。分岐点など判りにくい地点でこれを見つけて、ほっとした経験は誰でもあると思う。
 ところが、どうでもよいところに、つぎつぎと結んであると、かえってうるさくなってくる。
 ひどいのは、梱包用のビニール紐を枝に結んであり、風雨にさらされると、クラゲのようで実に見苦しい光景だ。見つけ次第回収するようにしているが、こういうのに限ってやたらと多い。
 ともかくビニールやプラスティックなど無機質の素材は使わず、風化してもやがて土に戻る昔からの赤布が良いようだ。
 また先人が付けていたら尊重し、ダブってあちこち付けないようにしたい。 (2001.05)

 

山の疑似木について

 山の一般歩道には疑似木が使われているところをよく見かける。
 急な坂道の土止めに使われた場合、月日が経過すると周りの土が崩れ疑似木だけが突出して、異様な光景となり、また歩きにくくなったりする。足裏のクッションが元がコンクリートだけに非常に堅い。
 疑似木はベンチとして利用されている場合も多いが、冬期は底冷えのする座り心地である。
 道の脇のガードにしても浮いた感じで自然に溶け合ってこない。
 疑似木の設置は行政が予算を割いたところが殆どだと思うので、次回はぜひ疑似木を撤廃して運び下ろし、現場の材木を使ったものに徐々に変えてゆくべきだろう。また、行政の担当者には、自然に対する認識を持った人材が活かされるべきであろう。
 疑似木は無機質のフェイク素材であり、木の暖かさは決してない。 (2001.05)


御岳山で感じたこと

 2001年5月、久しぶりに奥多摩の大岳山から御岳山の山道を歩いた。驚いたのは、芥場峠の下などで車道用のガードが一部設置してあったことだ。何故、このようなおよそ自然とは決して調和しないものを置くのだろうか。杉が困る程あるのだから、材を組んでガードを造れないものか。
 御岳山の山頂一帯も、自然の調和とは、およそかけはなれており、これでは再訪する人は少ないだろう。ブッポウソウも減少していると聞いたが鳥も逃げ出すはずだ。東京で同じケーブルの通う山でも高尾山の方がよほど趣がある。 (2001.05)

 

奥多摩日原

 1999年秋及び2001年4月と、日原を数十年ぶりに訪れた。かつて鍾乳洞の前に立ちはだかっていた燕岩に工事現場のような大コンクリート壁が設置されており唖然としてしまった。側に立つ梵天岩も悲しそうだ。
 燕岩は、落石は多かったが、かつては岩登りのゲレンデにもなっていた自然の岩壁だ。
 その大景観をこれほどまでに破壊した功罪は大いに議論されるべきだろう。
 日原は観光客が減っているそうだが、これではやむをえないだろう。せめて稲村岩や、小川谷が現状のまま残されるのを願ってやまない。
 また小川谷奥、酉谷山山頂の積年の多量ゴミを99年12月に有志の方々が降ろした。それこそ、観光協会などが、有志をインターネットででも募り、交通費程度出して年に一度くらい実施したらどうだろうか。 (2001.05)

 

赤岳の堰堤

 金峰山から八ガ岳の主峰赤岳を見ると、赤岳沢の遙か上部、山頂近くまで砂防ダムのような堰堤が見られる。何でこんな上までも景観を壊して堰堤が必要だったのか。昔日、落石で名高い赤岳沢を遡行しようと思った人間としてはたいへん残念である。 (2001.05)

 

笛吹川上流の景観

 国立公園とはいったい何であったかと感じられる景観である。笛吹川上流は秩父多摩国立公園の中心部である。林道はついに東沢をも侵しはじめたようだ。あの豊かな原生林はどこへいってしまったのか。
 結局、昭和20年代に設定された国立公園は、名ばかりで何も保護されなかったと痛感した。木暮理太郎や田部重治の世界は夢のまた夢である。
 山梨県はたびたび訪れるためか、およそ必要とは思われない林道や堰堤による自然破壊が各地で目につく。山が死んでゆく県のように思える。
 山梨百名山など正確な地図入りパンフレットも配布している県でもあり、ぜひ自然を復元する方に、21世紀は舵を取ってもらいたい。 (2001.05記)


 山歩きを再開して感じたことをまとめてみました。
 自然が正当な理由なく破壊された20世紀の終わりから、自然が復旧される21世紀であるように願いつつ、努力してゆきたいと思います。     Index へ戻る